2009-01-15
【憎まれ口・その3 崇高な目的か、足下の病人か。】

報道によると、昨年9月、エチオピアで武装集団に誘拐された赤羽桂子(32)という女医さんが3ヵ月半ぶりに解放されたようだ。
生来、物覚えの良くない私だから、3ヵ月半も前に起きたこの事件のことは失念してしまっていた。
「忘れていた奴が偉そうに言うな」とお叱りを受けそうだが、無事に解放されたことについては素直に喜ぶこととしよう。
この女医さんは、パリに本部があるNGO団体の「世界の医療団」に所属していて、「崇高な目的の為に献身的に働いていた」そうだ。
マスコミはここを先途とばかりに「海外で働く邦人たちの安全を確保する為の態勢を強化するべきだ」と政府に注文をつけている。
だが一方では、日本の船舶が年間約2000隻も往来し、邦人の生命が海賊によって危機に晒されているソマリア沖に、邦人の安全確保の為に自衛隊を派遣しようとすると、大反対の狼煙を上げる。
今や日本の第一権力となっているマスコミとは、斯くも「ご都合主義」だということを改めて認識する必要がある。

話を元に戻すが、赤羽という女医さんを救出するのに1億数千万円の身代金を払ったとされている。
女医さんが所属する「世界の医療団」側は身代金の授受を否定し、外務省は「答えられない」としている。
しかし、テロ組織の幹部は身代金を受け取ったことを明らかにしている。
普通に考えれば、テロ組織がゼニを生み出してくれる人質を易々と解放するわけがない。
テロ組織の幹部の話が事実だとすると、寄付を募って活動しているボランティア団体に1億以上の金を右から左に動かせる筈はない、いったい何処の何方が身代金を出したのか勘繰りたくもなる。
外務省は「答えられない」と言っているが、日本政府が払わずして誰が払うのか、身代金が今後のテロ活動の資金となることを忘れてはならない。

赤羽桂子女医の崇高な行為にケチをつけるようだが、いま日本の医療現場は医師不足に喘ぎ、一人でも医師が欲しい状態だ。然るに、わざわざ海外まで出かけて「崇高な目的」を果たさなくても良いのではないか。
あなたの助けを求めている病人や怪我人はあなたの足下にいるのだから・・・。