2009-02-05
“一度は食べてみたいもの”

「内閣人事・行政管理局」への機能移管をめぐり、政府と徹底対立している人事院。そのトップである谷公士総裁(68)は平成13年に郵政事務次官を退任後、財団法人などを渡り歩いてきた人物で、政府・与党内からは「ミスター渡り」との声も出ている。その組織防衛への執念は徹底しており、今後も法案作成過程での抵抗をにじませる。人事院が得意とするメディアや政界への説得工作術とは−。

 「私は人事院を代表し、人事院の立場に今後もご理解いただけるように努力するつもりです」

 3日朝、国会内で開かれた政府の公務員制度改革推進本部で人事院の機能移管が決まったが、谷氏は余裕の表情を見せた。

 谷氏は昭和39年に郵政省に入り、平成10〜13年に郵政事務次官を務めた。退官後は同省所管の財団法人「郵便貯金振興会」(現ゆうちょ財団)理事長へ天下りし、同時期にさらに2つの財団法人の理事長を兼任。15年6月には有料CS放送の関連会社会長となり、16年4月に人事官に就任、18年4月から人事院総裁を務めている。

 長く折衝してきた甘利明行政改革担当相は「あんな不遜(ふそん)な官僚は見たことがない」と憤りを隠さない。甘利氏が話をしようとしても、谷氏は「事務方と同じ見解ならば会う必要はない」と面会を度々拒否。交渉過程では、甘利氏との電話での会話を無断で録音するなど抵抗戦術を続け、「われわれを総務省や財務省などと同列にしないでほしい」と言い放ったという。

衆院予算委員会で前原誠司・民主党の前原誠司副代表の「やるやる詐欺」発言で、与野党の理事が衛藤征士郎委員長に詰め寄り紛糾 =4日午前9時28分、国会

 谷氏が強気の姿勢を崩さない背景には、人事院の特殊な身分制度がある。総裁を含む人事官3人は弾劾裁判でなければ罷免されず、閣僚の意向を気にする必要はない。加えて人事官は国会同意人事なので、総裁が辞任すれば新たな人選は困難を極める。

 メディア対策も秀でている。甘利氏との直接折衝の度に、谷氏らは担当記者に入念な説明を行い、人事院側の主張を展開。3日の決定までに計5回の記者ブリーフを行ったほか、論説委員へも説明会を続けた。

 また、昭和28年以降、人事官3人のうち1人は報道機関の幹部経験者の指定ポストで毎日、朝日、読売、NHK、日経の退職幹部が歴任。閣僚経験者は「報道機関が人事院を批判できるわけがない」と打ち明ける。

 谷氏は4日朝の民放情報番組への生出演を決めた。早くも反撃ののろしを上げたといえるのではないか。(産経新聞)

人事院(じんじいん。英訳名:National Personnel Authority)は、日本の行政機関のひとつ。国家公務員法に基づいて設置されている中央人事行政機関で、公務員人事管理の中立公正性を確保し、労働基本権制約の代償機能を果たすため、内閣の所轄の下、公務員の人事管理に関する中立第三者機関・専門機関とされている。3名の人事官をもって構成される合議制の機関とされる、いわゆる独立行政委員会の一つである。
国家公務員の給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告(人事院勧告)、職階制、採用試験、任用、分限、研修、給与、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務など、国家公務員の人事に関する事務を掌理する。
人事行政の公平を保つため、その権限は内閣から独立して行使することができる。

引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

負けるな!太郎

国家公務員の幹部人事一元化のため新設する「内閣人事・行政管理局」への機能移管に組織を挙げて抵抗する人事院。「官僚機構の奥の院」とされ、過去の行政改革や公務員制度改革でも常に改革つぶしに暗躍した歴史を持つ人事院とは一体どういう組織なのか−。
自民党の菅義偉氏が、「麻生太郎首相の主催する会合に来ないような[人事院]総裁には辞めてもらわないといけない」とのべたそうだ。当然である。谷総裁が国家公務員制度改革推進本部の会議への出席を拒否して流会にしたのは、オール霞ヶ関の意を受けた改革ボイコットだ。ここで甘い顔をすると、自民党は官僚になめられ、公務員制度改革は挫折するだろう。

人事院は、ほんらい中立的な立場から公務員の賃金を決める機関だ。そのために独立行政委員会とされ、人事官も民間から採用される。ところが、いつのまにか官僚に換骨奪胎され、谷氏のような天下り官僚が「渡り」で人事官にもぐりこみ、人事院総裁になった。今や人事院は、官僚による官僚のためのお手盛り賃上げ機関である。この機会に谷氏を更迭し、政治主導で霞ヶ関を改革する意志を示すべきだ。これは任命権者である麻生首相が、リーダーシップを発揮するチャンスである。

何様の心算だ?総理より偉いの? "ミスター渡り"の異名持つ谷公士人事院総裁…総理の要請拒否・辞任拒否・会合出席拒否

公務員制度改革を巡り、人事院総裁が麻生首相にさえ歯向かう前代未聞の事態になってい る。第三者機関のトップとして、政府から罷免されない特権を利用したとみられている。人事院 総裁とは、そんなに偉いものなのか。

「信じられない。総理が主宰する会にですね、役人が出てこないなんてことあるんですかね」 甘利明行革担当相は、2009年1月30日の記者会見で、苦虫を噛み潰したような表情でこう憤 りをぶつけた。

谷公士人事院総裁

出席しなかったのは、人事院の谷公士総裁。この日は、麻生太郎首相を本部長とする国会 公務員制度改革推進本部の会合が予定されていた。内閣官房に新設する「内閣人事・行政 管理局」に人事院が持つ公務員人事の企画立案機能を移すことが盛り込まれた工程表を最 終決定するためだ。

なぜ出席しなかったかについて、谷総裁は、正式メンバーでなく出席要請もなかったので、代 わりに文書を出すつもりだったと釈明した。ところが、甘利行革担当相は、こう反発したのだ。

「出席要請もしないで、なんで前回も来たんですか。通りがかったら、会合やってるみたいだか ら入ってきたんですか。あり得ないことですよ」
(略)
首相とも対立する谷総裁に対しては、自民党の菅義偉選対副委員長が1月31日、辞任を求 めた。だが、谷総裁は2月2日、辞任を否定し、機能移管への工程表が最終決定された3日 も、「意見表明を続けたい」と反対する姿勢を示した。内閣がいったん任命すると罷免できな い独立機関の立場を利用した面はあるが、人事院総裁とは、そんなに権力があるのだろうか。