2009-06-15
 『200Q・コンセプト』

 日産のフェアレディZと云う車のヘッドライト、テールランプのデザインは、書道の筆の「はらい」の形をヒントにしたと云う話しを聞いた。
う〜んなるほど素晴らしい。けど待てよ、何故「筆のはらい」である必要があったのか?
近頃では車のヘッドライトのデザインも製造技術の進歩で自由度がかなり増したので、何でもありの状態になって来ていて、相当変なデザインが多くなっているが、ライトの形の基本はやはり丸でしょう。今や普通の丸目はジャガーやフィアットの一部くらいにしか無くなってしまった。メルセデスのEクラスもついに、変形だったが丸目を止める事になったようだ。
そう云えばその昔のメルセデスのSLにも日本の鳥居の形をヒントに、屋根を逆カーブにしたものがあった。何故「鳥居」なのかは苦しい所だが。


今後、例えば「しゃもじ」の形をヒントにしたテレビだとか、神社の「お賽銭箱」をデザインコンセプトにすえだ便器なんて云うものが出て来てもとまどってしまいます。
 先週末は私の所属する、日本ディスプレイデザイン協会の年に一度のデザイン賞の審査の日で、私も毎年審査員として参加しています。応募されて来た、この一年間に作られた店舗やショールーム、博物館や美術館、展示会やショウウインドウ等のデザインの作品の写真パネルを見て、その良し悪しを決めるのは大変にエネルギーが要るが責任のある作業である。一日中他人の作品を見て、何とかその意図する所を吸い上げようと考えて行くのは、自分の中から相当量の何か大切なエキスを吸い取られてしまう位にぐったりと疲れる作業ではある。既に、実際の現物を見て知っていたり、業界誌の写真で見ていたりと云うものもあるが、パネルのレベルはバラバラで、中には現物はおそらくこれよりはもっと良いんだろうけど写真がやや残念だなあ、と云うものもある。
近頃特に感じるのは、作者本人が作品について解説する、いわゆるデザインコンセプトと云うものであるが、作品の応募要項に添えられていて、それを読むと、それは実際に出来た作品よりずっと素晴らし過ぎたり、更には作品の内容とは全然違っていたりするものが多いと云う事である。つまりみんな口が上手くなって来て、能書きだけは立派だけど実際のビジュアルはこれなの?と云う事である。
何だ、フェアレディZもいっしょじゃん。
 5月28日に早速書店に行って『1Q84』を買って来ました。奥付けには30日となっていましたが、ミーハーな私としてはそのへんがうれしいのです。
「青豆」と「天吾」と云うそれぞれ変わった名前の主人公によるパラレルに進行する物語で、この形式は前作の『海辺のカフカ』や更に前の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』とも同じだ。全体的には「失われるもの」の物語だろうと云う風に感じた。
村上春樹は、前作よりも更に巧みになっている。『世界の・・・』や『ねじまき鳥・・・』の頃はもっととがっていたように思います。いずれにしろ春樹の作品は、それこそコンセプチュアルですが、色々な飾りを交えて上手くコンセプトをうすめて隠してある。その飾りの入れかたがどんどんスムースになって来ているように思う。
例えば建築のデザインは制度のデザインで、本を作る作業に例えるならば、百科事典を作る様なものだが、対して我々の業界のデザインは、週刊誌を作る様なものである。
それだけに、よりタイムリーでエンターテイメント性も必要である。「味付け」ですよね。春樹はその「味付け」のサービス精神が上手くなって来ている。
但しすごい売れ行きの様ですね。あまのじゃくな私としてはその辺が少しひっかかりますが、今や三島や健三郎や公房より上でしょう。


               

       2009.06.11.

*加工用の逃亡ソフトは未だに行方不明です。   金・土・日と目を痛くしながら捜索中ですが最後にシステムの復元をしましたが途中ネットの繋がりが悪く電源を落としたのが運悪くそれ以前には復元出来ないようです。