2009-07-03
有罪確定へ 「国策捜査」世間に広める

優被告は1日、上告を棄却した最高裁の決定を受けて、こんなコメントを出した。

 政官財の事件が摘発されるたび、捜査批判に使われる「国策捜査」。小沢一郎民主党代表代行側への違法献金事件で民主党側が当初、この言葉で検察を批判したことは記憶に新しい。

 この「国策捜査」を世間に広めたのが、鈴木宗男衆院議員と佐藤被告だった。

 佐藤被告は「起訴休職外務事務官」という肩書で多数の著書を執筆した。

最高裁の上告棄却を受け、報道陣の取材に応じる佐藤優被告=1日夜、東京都千代田区

 公判で「特定の政治的ターゲットの中に何としても犯罪を見いだし、作り出すことだ」と「国策捜査」を定義。自著「国家の罠(わな) 外務省のラスプーチンと呼ばれて」では逮捕直後、検事から「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです」と言われたというエピソードを記した。

 この検事の言葉には一定の理解を示しつつも、裁判中は無罪主張を貫き、鈴木議員の逮捕時にはハンガーストライキで抗議した。「国家の罠」で知名度を上げ、「国家の自縛」「獄中記」などを次々と上梓(じょうし)。論客としても引っ張りだこになった。

 鈴木議員は佐藤被告の上告棄却に「非常に残念な結果」などとコメント。児玉和夫外務報道官は「外務省として重く受け止めている。綱紀粛正に努めたい」と述べた。(産経新聞)
国策捜査(こくさくそうさ)とは政治的意図や世論の動向に沿って検察(おもに特捜検察)が「まず訴追ありき」で捜査を進めることをいう[が、法令上の用語ではない[2]。捜査を進める場合だけでなく捜査を控える場合を含めて国策捜査ということもあるが、一般にはこれらを区別して後者を特に逆国策捜査ということがある。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

元主任分析官・佐藤優

 

本件は、衆院議員の鈴木宗男被告(61)をめぐる一連の事件のうち、外務省関連の国際機関「支援委員会」に対する背任と、国後島の発電施設工事入札をめぐる偽計業務妨害の罪に問われた同省の元主任分析官、佐藤優被告(49)の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は1日までに、上告を棄却する決定をしたものである。

民主党が政権を獲得する場合、新政権は「国策捜査」を実行するのではなく、「国策捜査」の疑いがある過去の事案について、徹底的な真相解明を実行するのだと考えられる。その「真相解明」によって、問題が明確になれば、適切な対応が取られなければならない。

 民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書が、準大手ゼネコン、西松建設から違法献金を受け取った容疑で東京地検特捜部に逮捕された事件は、「国策捜査」という見方をめぐる攻防の様相ともなっている。民主党側は、東京地検特捜部の捜査を「国策捜査」として批判する構えを見せ、一方の検察当局や政府・自民党側は、「厳正な捜査であり、民主国家を愚弄(ぐろう)している」などとして、反発を強めている。ところで、そもそも「国策捜査」という用語とは?
 産経新聞の過去記事をデータベースで調べてみると、「国策捜査」が初めて記事中に登場するのは、平成8年5月30日の朝刊(東京本社発行版)。バブル崩壊の不始末で巨額不良債権を抱えて破綻(はたん)した住宅金融専門会社(旧住専)をめぐる不正融資事件を伝える記事だった。
 巨額な不良債権処理に伴って、破綻した金融機関に公的資金を注入する際には、不正融資などを行った経営陣の刑事責任の追及が、相次いでセットになって行われた。
 その背景には当時、公的資金注入について「バブルに踊った不正融資や放漫経営を行った金融機関の尻ぬぐいになぜ血税が投入されるのか」との批判の声が巻き上がったことがあった。
 公的資金投入の批判をかわし、金融機関処理や不良債権処理を推進するためには、「政府主導の国策による経営陣らの刑事責任追及が露払い的役割として、必要になった」との指摘がマスコミ論調などに出た。

国策捜査である。としての誤魔化しは許さない


 こうして、「国策捜査」という用語がこの時期、初めてマスコミに登場したわけだ。
 このマスコミ造語について、当時の検察幹部が「検察庁も国の一機関。そういう意味では、捜査はすべてが『国策捜査』だ」と言い切ったのを今でも覚えている。
 この後、旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件でも、金融再生法などによる破綻処理のスキームとして、やはり「国策捜査」が広く指摘された。
 「国策捜査」がさらに汎用化したのは、鈴木宗男衆院議員と佐藤優・外務省元主任分析官(起訴休職)をめぐる同省関連の一連の事件だった。
 佐藤氏は公判で、「特定の政治的ターゲットの中に何としても犯罪を見いだし、作り出すことだ」と「国策捜査」を自ら定義。「国策捜査は大きな必然性の中から生まれる。日本の政官の関係を変えようと象徴的事件を作り出して断罪し、時代のけじめをつけるのが目的だった。検察は職務を忠実に遂行している」と主張した。
 「国策捜査」はこの後も、ライブドア事件や耐震偽装事件などでも独り歩きして、捜査批判の“常套(じょうとう)句”のように使われるようになっていった。


                   
 ≪厳正公正に判断≫
 元東京地検特捜部長、熊崎勝彦弁護士の話 検察がこういう時期に、強制捜査(小沢代表の公設第1秘書の逮捕など)に踏み切ったことは、大変重い決断だったと思う。慎重にも慎重を重ねて証拠を精査し、やるべきものと厳正公正に判断したのだろう。
 いろいろと意見はあるだろうが、検察は法と証拠に基づいて事件を摘発しているのであって、政治的意図を持ったり、政治的な働きかけに左右されて捜査に着手したりするということは自分が知っている限りはあり得ないことだ。
 万が一にも、そうした政治的な支配を受けるようなことがあれば、近代民主主義の根幹である「法の支配」が崩れ去ることになってしまう。

民主党代表
                   

 ≪国策捜査と思わない≫
 佐藤優氏の話 今回の事件は、国策捜査だと思っていない。事前に世論を盛り上げて象徴的事件を作り出し、時代のけじめとするのが国策捜査だが、今回はそうなっていない。ただ、現場の検察官が青年将校化しているように見える。西松建設の違法献金の実態を捜査しているうちに、「これでは(小沢代表に)次期政権を任せられない」と思ったのだろうが、世直しは、あくまで政治がやること。民主主義の中のルールがおかしくなっている証左だと思う。