2009-07-09
漢族数千人デモ 暴徒化

中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区で発生した暴動を受け、区都ウルムチでは7日、ウイグル族住民の襲撃に怒った漢族住民数千人が街頭でデモ行進し、暴徒化した約200人がウイグル族の商店を襲撃した。両民族が街頭で投石し合い、警官隊が催涙ガスで暴動を鎮圧しようとしているが、双方の対立は収まらず混乱は拡大。自治区当局は同日、夜間の車での外出を禁止した。

 漢族のデモ隊は鉄パイプや角材で武装し、「ウイグル族を倒せ」「数はわれわれの方が多い」などと叫んでいる。ウイグル族住民約200人も、家族が当局に拘束されたことに反発して抗議デモを行い、警官隊と小競り合いになった。

 暴動の死者は7日朝までに16人増え156人となり、負傷者は1080人に上った。

 一方、中国国営新華社通信によると、新疆ウイグル自治区カシュガルで6日夜、200人以上の住民が中国最大のモスク(イスラム礼拝所)「エイティガール寺院」に集まろうとしたところを警察が排除した。

漢族住民数千人、ウイグル族暴動に抗議デモ

現地当局は6日、5日夜の暴動の映像をメディアに配った。バスを襲撃する暴徒

 当局は、同自治区のカシュガル、イリ・カザフ自治州、アクスでも暴動を扇動し、組織しようとする動きがあるとしており、インターネットを遮断し、国際電話をかけられないようにするなど統制を強化。拘束されたウイグル族らは1434人に上っている。

新疆ウイグル自治区、ウルムチで漢民族とウイグル族の衝突で負傷者が多数

 外務省の秦剛報道官は7日、北京で記者会見し、「(拘束は)法にのっとった正当な行為だ」と強調した。

中国の新華社は8日、胡錦涛・国家主席が新疆ウイグル自治区の暴動に対応するためイタリアから帰国する、と報じた。主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)は欠席する、という。
 新華社は「国家主席は新疆ウイグル自治区の状況に対応するため、イタリアでの滞在を短縮し、8日早朝に帰国の途に付いた」と伝えた。
 戴秉国国務委員が国家主席の代理としてサミットに出席するという。
 新疆の暴動ではこれまで156人が死亡、1000人超が負傷した。 
 サミットはイタリア中部の都市ラクイラで、8─10日の日程で開催される。胡錦涛・国家主席は9日の会合に出席する予定だった。
 国家主席は5日にイタリアに到着し、7日にはフィレンツェを訪問した。
 イタリアの通信社ANSAは、国家主席は近郊のピサから出国する、と伝えた。

7月8日、胡錦涛・国家主席が新疆ウイグル自治区の暴動受け帰国。


主張 対立
 中国当局は7日、150人以上が死亡した今回の暴動を独立派のウイグル亡命組織が計画・扇動したと結論づけた。これは昨年3月のチベット騒乱と同じ構図で、ウイグル亡命組織を「中国人民の敵」と位置づける狙いがある。だが、現地のウイグル族住民は「死者は数百人規模」で「治安部隊がウイグル族に向かって発砲し殺害した」と憤りを強めており、共産党支配に対する抗議行動が各地に広がる可能性をはらんでいる。

 「武装警察部隊は男を裸にし、首を足で踏みつけた。体に傷が少しでもあると暴動に参加したとして連行していったわ!」

 ウルムチ市内南部。ウイグル族の女性数百人が泣きながら一斉に拳を振り上げた。怒りのあまり卒倒した中年女性もいた。周辺一帯で「300人ほどが連行された」という。

 「60歳の女性も殴打された」「無事に家族を帰せ」と、女性たちの抗議集団がデモ行進を始めた。数百人の武装警官が鎮圧用トラックや装甲車とともに待ち構える。

 「やめろ! 鎮圧の口実に使われる」と、集団の中からデモ隊を制止する声が上がった。しかしデモ隊は武装警察部隊と“衝突”、女性たちは押し戻された。

 これに対し、漢族数千人も「ウイグル族に攻撃された」とスコップや棒を手に市内をデモ行進した。現在、双方の民族は襲撃に備えて“自警団”を組織するなど、市内は緊迫した雰囲気に包まれている。

 「武装警察部隊は足に向かって発砲した。女性に向けても撃った」

 死者156人とする当局に対し、「ありえない。数百人規模で死んだ」とウイグル族の男性たちは憤った。一方で「威嚇射撃だけだった」と証言する女性もいる。

 死者の中に当局の発砲による死者がいるのかいないのかは不明だ。

 「(今回の暴動は)民族問題でも宗教問題でもなく、祖国分裂を目的としたものだ」

 ウルムチ市当局は7日、記者会見を開き、何度も強調した。亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」が今回の暴動を計画し組織し扇動したという。

何処かで聞いた事のある話だ!

哈密市郊外に建設された石油研究所

 石油、天然ガスが豊富に埋蔵する新疆は中国経済の「生命線」だ。そして分離独立派との戦いの最前線でもある。

 当局が今後、ウイグル独立派組織の一掃に乗り出すのは確実とみられる。

 しかし、自治区内で進む「漢族化」と当局の締め付けに対するウイグル族の怒りは、火山のマグマのようにうねり続けている。